「コトバ DE オンガク」(松本ユタカのオモフまま綴り)
***********************************************
これから楽器を始める方へ…私の音楽論
***********************************************
音楽は基本的には楽しむものです。
聴いて楽しむ、演奏して楽しむ、唄って楽しむなどの他…
ある意味ではダンスなども音楽の間接的な楽しみ方かも
知れません。
関わる状況はなんであれ、音楽は本人が楽しいことが
イチバンです。
ただし、聴いて楽しいと思う人がいれば、もう片方には必ず、
聴き手に対して音楽を届けている"送り手"がいるはずです。
そしてその送り手は、聴き手が楽しめるように、"良質"の
音楽を届けるべく、毎日頑張って練習をしている事でしょう。
音楽(演奏)は、聴いてくれる人があってこその文化です。
演奏する人は、聴き手に楽しんでもらえるように、時には
つらい思いをしてでも練習に迫られる場合があります。
しかしそれでも、本番で心からの拍手をもらえたならば、
練習でのつらさは、心地よい笑顔に変わってしまうことでしょう。
そしてそれは、プロでもアマチュアでも気持ちは同じです。
プロはもちろん、アマチュアだって人に聴いてもらうためには、
自分が楽しいだけの、いわゆる自己満足な演奏をしていては
いけないと思うのです。
音楽は、たまたま耳から入る文化で、目には見えない形のない
ものだから、解りにくいかも知れません。
でもこれが、たとえば料理だったら…?
いくら善意のもてなしだったとしても、美味しくないよりは
美味しい方が明らかに喜んでもらえますよね。豪華である必要
なんてなく、シンプルでも誠実なオイシサがあれば、料理した
人のマゴコロは食べた人に必ず伝わります。
これを音楽に置き換えてみてください。
人間が人間を相手に行うことというのは、すべてそれに尽きると、
私は思うのです。…聴き手に対する誠意=精一杯の練習の成果…
もちろん、初めて音楽や楽器を始めようとする人が、最初から
上手に出来るわけはありません。少しずつ慣れ親しんで、気が
ついたら上手になっていた…そんなカタチでいいのです。
そして、二胡でもギターでも、楽器というのはひとつの道具~
ツールです。
字を書くための鉛筆…料理のための包丁…大工仕事のための金槌…
ある場所からある場所への素早い移動のための自動車~などなど、
道具は目的のための手段です。(まあ、中にはそれ自体を楽しむ
人もいますが、ここでは別の話としましょう)
楽器を使って創り上げるものは、やはり"曲"で、曲といっても
そのカタチは様々です。メロディだけを聴かせるもの(ソロ)、
複数の楽器で聴かせるもの(アンサンブルまたはバンド、オーケス
トラ等)と、色々ありますが、全てに共通して大事なことは、曲にも
"起承転結"があると言う事です。(小説などと同じです)
むずかしいリクツは省きますが、曲を楽しく聴いてもらうためには
単に演奏のウマサだけでなく、それなりの構成力や表現力、そして
相手に対する敬意と誠意が必要なのです。
現在、一流と呼ばれる演奏家たちは、聴き手の存在をきちんと認識し、
愛情や誠意、そして思いやりを持って向かい合うからこそ、素晴らしい
演奏やステージパフォーマンスを行えるのです。
長々と書いてきましたが、私は、楽器の使い方を教えるだけでなく、
楽器によって創り上げる"音楽"そのものを、教えていけたら…と
考えています。
これから始める方は、楽器を弾ける事だけを目標とするのではなく、
楽器を使って"音楽"を発信できるように、そしてそのための前段階と
して楽器の習得に取り組んでいただけたらと思います。
いつか誰かに向けて素敵な演奏ができるように…。
-----------------------------------------------------