「コトバ DE オンガク」(松本ユタカのオモフまま綴り)

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  これから楽器を始める方へ…私の音楽論

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音楽は基本的には楽しむものです。

聴いて楽しむ、演奏して楽しむ、唄って楽しむなどの他…

ある意味ではダンスなども音楽の間接的な楽しみ方かも

知れません。

 

関わる状況はなんであれ、音楽は本人が楽しいことが

イチバンです。

 

ただし、聴いて楽しいと思う人がいれば、もう片方には必ず、

聴き手に対して音楽を届けている"送り手"がいるはずです。

そしてその送り手は、聴き手が楽しめるように、"良質"の

音楽を届けるべく、毎日頑張って練習をしている事でしょう。

 

音楽(演奏)は、聴いてくれる人があってこその文化です。

演奏する人は、聴き手に楽しんでもらえるように、時には

つらい思いをしてでも練習に迫られる場合があります。

しかしそれでも、本番で心からの拍手をもらえたならば、

練習でのつらさは、心地よい笑顔に変わってしまうことでしょう。

 

そしてそれは、プロでもアマチュアでも気持ちは同じです。

プロはもちろん、アマチュアだって人に聴いてもらうためには、

自分が楽しいだけの、いわゆる自己満足な演奏をしていては

いけないと思うのです。

 

音楽は、たまたま耳から入る文化で、目には見えない形のない

ものだから、解りにくいかも知れません。

でもこれが、たとえば料理だったら…?

いくら善意のもてなしだったとしても、美味しくないよりは

美味しい方が明らかに喜んでもらえますよね。豪華である必要

なんてなく、シンプルでも誠実なオイシサがあれば、料理した

人のマゴコロは食べた人に必ず伝わります。

これを音楽に置き換えてみてください。

 

人間が人間を相手に行うことというのは、すべてそれに尽きると、

私は思うのです。…聴き手に対する誠意=精一杯の練習の成果…

 

もちろん、初めて音楽や楽器を始めようとする人が、最初から

上手に出来るわけはありません。少しずつ慣れ親しんで、気が

ついたら上手になっていた…そんなカタチでいいのです。

 

そして、二胡でもギターでも、楽器というのはひとつの道具~

ツールです。

 

字を書くための鉛筆…料理のための包丁…大工仕事のための金槌…

ある場所からある場所への素早い移動のための自動車~などなど、

道具は目的のための手段です。(まあ、中にはそれ自体を楽しむ

人もいますが、ここでは別の話としましょう)

 

楽器を使って創り上げるものは、やはり"曲"で、曲といっても

そのカタチは様々です。メロディだけを聴かせるもの(ソロ)、

複数の楽器で聴かせるもの(アンサンブルまたはバンド、オーケス

トラ等)と、色々ありますが、全てに共通して大事なことは、曲にも

"起承転結"があると言う事です。(小説などと同じです)

 

むずかしいリクツは省きますが、曲を楽しく聴いてもらうためには

単に演奏のウマサだけでなく、それなりの構成力や表現力、そして

相手に対する敬意と誠意が必要なのです。

 

現在、一流と呼ばれる演奏家たちは、聴き手の存在をきちんと認識し、

愛情や誠意、そして思いやりを持って向かい合うからこそ、素晴らしい

演奏やステージパフォーマンスを行えるのです。

 

長々と書いてきましたが、私は、楽器の使い方を教えるだけでなく、

楽器によって創り上げる"音楽"そのものを、教えていけたら…と

考えています。

 

これから始める方は、楽器を弾ける事だけを目標とするのではなく、

楽器を使って"音楽"を発信できるように、そしてそのための前段階と

して楽器の習得に取り組んでいただけたらと思います。

 

いつか誰かに向けて素敵な演奏ができるように…。

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